広告クリエイティブの検証は「画像番号」ではなく「ペルソナ×訴求×表現」で管理する
広告のクリエイティブ(CR)を毎週のように作って配信していると、検証の記録が「CR_023 が勝った」「CR_031 は止めた」だけになりがちです。これでは、なぜ勝ったのかが残りません。担当が変われば、同じ負けパターンをもう一度作ることになります。
私はCRを、画像の番号ではなく「ペルソナ(誰に)×訴求(何を言うか)×表現(どう見せるか)」の3つの軸で管理しています。この記事では、その管理表の作り方と、勝ち負けの判定ルールの決め方を紹介します。
画像番号の管理では、学びが残らない
1枚のバナーには、複数の要素が同時に入っています。たとえば「共働き夫婦に向けて、調理時間の短さを、実際の調理シーンの写真で見せる」バナーがあったとします。
このバナーのCPAが良かったとき、効いたのはどれでしょうか。
- ターゲットを共働き夫婦にしたこと
- 「時短」を訴求したこと
- 写真で調理シーンを見せたこと
画像番号で管理していると、この3つが分かれません。次のCRを作るときに「とりあえず似たものを」としか言えなくなります。
CRを3つの軸に分けて記録する
そこで、CRを作る段階で、次の3つの軸に値を付けておきます。
| 軸 | 意味 | 値の例(ミールキットの定期便の場合) |
|---|---|---|
| ペルソナ | 誰に向けたCRか | 共働き夫婦/子育て中の親/一人暮らし/休眠ユーザー |
| 訴求 | 何を言うか | 時短/価格/健康・栄養/献立に悩まない |
| 表現 | どう見せるか | 調理シーンの写真/完成した料理の写真/イラスト/利用者の声風/比較表 |
ポイントは、値を入稿前に決めておくことです。配信が終わってから「このCRは何訴求だったか」を考えると、結果に引っ張られて都合よく分類してしまいます。
値の数は、各軸で5〜8個くらいに収めます。細かく分けすぎると、1つのマスに入るCRが少なくなり、比べられなくなるからです。
ペルソナと訴求の値をどう洗い出すかは、訴求軸の洗い出し方:「WHO-WHAT表」で、誰のどんな課題に何を言うかを12行にするで紹介しています。
管理表の列
スプレッドシートで十分です。1行に1本のCRを書きます。
| 列 | 書く内容 |
|---|---|
| CR ID | 入稿名と同じにしておく |
| ペルソナ・訴求・表現 | 上の3つの軸の値 |
| 媒体・配信期間 | Meta、TikTok など。期間は開始日と終了日 |
| 費用・CV・CPA | 媒体の管理画面から転記する |
| 判定 | 下の判定ルールで決まる |
| 仮説 | 作る前に「何を確かめるためのCRか」を1行で |
| 学び | 結果を見て分かったことを1行で |
「仮説」の列は、作る前に書きます。これがあると、勝っても負けても「何が分かったか」を言えるようになります。
勝ち負けの判定ルールを先に決める
検証で一番もめるのが「このCRは勝ったのか」です。毎回その場で判断すると、人によって基準がぶれます。そこで、判定のルールを先に決めておきます。
私がよく使うのは、CPAを期間の平均と比べた指数です。
CPA指数 = そのCRのCPA ÷ 期間内の全CRの平均CPA × 100
指数が小さいほど、平均より安く獲得できているCRです。判定の目安は、たとえば次のようにします。
| 判定 | 条件 |
|---|---|
| データ不足 | CVが30件未満 |
| 勝ち | CPA指数が90以下 |
| 様子見 | CPA指数が90より大きく、120以下 |
| 停止候補 | CPA指数が120より大きい |
「データ不足」を最初に置いているのが大事なところです。CVが数件のうちは、1件増えるだけでCPAが大きく動きます。少ない件数で勝ち負けを付けると、たまたま良かったCRを「勝ち」として量産してしまいます。
数字の線引きは、商材や予算によって変わります。大事なのは、チームで同じルールを使うことです。
ペルソナ×訴求の表で、次に作るCRを決める
判定が付いたら、ペルソナを縦、訴求を横に並べた表にまとめます。マスには、その組み合わせのCRの判定を入れます。
| 時短 | 価格 | 健康・栄養 | 献立に悩まない | |
|---|---|---|---|---|
| 共働き夫婦 | 勝ち | 様子見 | 未検証 | 勝ち |
| 子育て中の親 | 様子見 | 停止候補 | 勝ち | 未検証 |
| 一人暮らし | データ不足 | 勝ち | 未検証 | 停止候補 |
(表の判定は説明用の例です)
この表で見るのは2つです。
- 勝ちのマス:表現を変えたCRを追加して、勝ちを伸ばす
- 未検証のマス:まだ試していない組み合わせ。次の検証の候補になる
「次は何を作ろう」と会議で悩む時間が、この表を見るだけでかなり減ります。
週に1回、3つだけ決める
管理表は、作っただけでは回りません。私は週に1回、表を見ながら次の3つだけを決めています。
- 伸ばす:勝ちのCRと、その表現違いを追加する
- 止める:停止候補のCRを止める
- 次に確かめる:未検証のマスから、次に作るCRを選ぶ
決めた内容と、そのとき立てた仮説は、管理表の「仮説」の列に残しておきます。半年もすると、そのチームだけの「効く組み合わせ」の辞書になります。
CRの本数が増えてきたら、ダッシュボードにする
本数が少ないうちはスプレッドシートで十分です。媒体が増えたり、毎週何十本も入稿したりするようになると、転記と集計に時間がかかってきます。そうなったら、媒体のデータを自動で取り込み、判定と表を自動で作るダッシュボードにするのがおすすめです。
この記事で紹介した考え方で作ったダッシュボードを、架空の商材のデータで触れるようにしています。勝ち筋の表や判定の仕組みを、実際に操作して確かめてみてください。
まとめ
- CRは画像番号ではなく、ペルソナ×訴求×表現の3つの軸で記録する
- 軸の値と「仮説」は、入稿前に決めておく
- 勝ち負けの判定ルールは先に決め、CV件数が少ないうちは判定しない
- ペルソナ×訴求の表で、伸ばすCRと次に試すCRを決める
ぷらるでは、こうした検証の設計から、CRの企画・制作、ダッシュボードの構築までをお手伝いしています。「CRは作っているけれど、何が効いているのか分からない」という段階からご相談ください。